魚へんの漢字は何種類?141選の読み方・由来、難読漢字と江戸時代の原本を徹底解説
鮪、鯖、鯵、鮎、鰯、鱈――。寿司店の湯飲みや鮮魚売り場で見かける魚へんの漢字には、魚の特徴や日本の食文化、さらには江戸時代の学者たちが残した考察まで刻まれている。ところが、魚へんの漢字は何種類あるのかと調べると、141種類、195種類、200種類近くなど、資料によって数字が異なる。魚へんの字だけを数えるのか、部首としての魚部全体を数えるのかによっても結果は変わる。
2026年10月時点で確認できる漢字辞典オンラインの魚部一覧は428字。一方、「ことば百科」は魚へんの漢字を141種類にまとめている。さらに、江戸時代の『本朝食鑑』や『和漢三才図会』などを調べると、鱈の「雪」の意味や、鮎をアユと読むようになった背景について、現在広く知られている説明とは異なる記述も見つかる。読み方の一覧から難読漢字の成り立ち、古文献に残る由来まで、数字の違いも含めて整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:魚へんの漢字に公的な統一総数はない。141種類は特定の一覧に掲載された数で、魚部全体の字数とは異なる。
- 要点2:鮪はマグロ、鯖はサバ、鯵はアジ、鮎はアユ、鰯はイワシ、鱈はタラ、鱧はハモと読む。字の由来には複数の説がある。
- 要点3:江戸時代の原本には、魚へんの字が日本で作られたという記録や、同じ漢字の由来について異なる説明が残されている。
【まず結論】魚へんの漢字は何種類?141種類と魚部全429字の違い
魚へんの漢字は何種類あるのか。答えは、何を「魚へんの漢字」として数えるかによって変わる。日常生活で魚の名前を書くときに使う漢字と、漢和辞典が部首ごとに収録する漢字は、同じ範囲ではない。
たとえば、「ことば百科」は2020年に公開した「魚へんの漢字一覧表【141種類まとめ】」で、141種類の字を掲載している。同記事では200個近くあるとも紹介しているが、これは魚へんの字数について広く使われる説明の一つであり、公式に定められた総数ではない。
一方、漢字辞典オンラインの「魚部の漢字一覧」は、2026年10月時点で428字と表示している。別の資料では429字と紹介されることもあるため、検索時には数字だけでなく、どの辞典の、いつの収録範囲なのかを確認したい。
魚へんの漢字と魚部の漢字は、次のように区別すると理解しやすい。
- 魚へん(魚偏・さかなへん):「鮪」「鯖」「鰯」のように、漢字の左側に「魚」が置かれた形を指す。
- 魚部(ぎょぶ):漢字を分類する部首の一つ。「魚」が左側にある字だけでなく、魚の形が別の位置にある字や、独立した「魚」なども含む。
- 141種類の一覧:特定のウェブ記事が採用した掲載数。異体字や珍しい字を含めるかなど、編集上の基準によって数が変わり得る。
- 魚部全428字・429字:漢字辞典の収録範囲に基づく数字。日常的に使う魚の名前が同じ数だけあるという意味ではない。
つまり、「魚へんの漢字は141種類」と覚えるよりも、「141種類を掲載した一覧がある」と理解するのが正確だ。難読漢字を覚えたい人と、漢字の部首を網羅的に調べたい人では、参照する一覧を使い分ける必要がある。

【読み方一覧】鮪・鯖・鯵・鮎・鰯から難読漢字まで
魚へんの漢字を覚えるなら、まずは食卓や寿司店で見かける字から押さえたい。読み方を知るだけでなく、右側の部分に注目すると、漢字の特徴や歴史にも興味が広がる。
以下は、代表的な魚へんの漢字と読み方を整理した一覧だ。読みは一般的な日本語での用法を中心にしており、古典的な音読みや、資料によって異なる魚種の名称は必要に応じて補足した。
| 漢字 | 読み方 | 成り立ち・覚え方のポイント |
|---|---|---|
| 鮪 | まぐろ | 右側は「有」。中国の古い用法ではチョウザメの仲間を指した。 |
| 鯖 | さば | 「青」を含む。青みを帯びた背の色を連想しやすい。 |
| 鯵・鰺 | あじ | 鯵は一般的な表記。鰺も同じ魚を指す。 |
| 鮎 | あゆ | 日本ではアユの字。中国ではナマズを指す用法がある。 |
| 鰯 | いわし | 「弱」を含む。魚の弱さや傷みやすさと結び付けて覚えられる。 |
| 鱈 | たら | 「雪」を含む。冬の漁や身の白さに関する説明が古文献に残る。 |
| 鱧 | はも | 「豊」を含む。中国での字の由来と、日本での魚名の用法は区別したい。 |
| 鯛 | たい | 祝いの席でおなじみの魚。右側の「周」は音を示す要素として理解できる。 |
| 鮭 | さけ・しゃけ | 日本ではサケの表記として定着。古い中国の字書とは用法が異なる。 |
| 鰤 | ぶり | 右側は「師」。師走と結び付ける俗説だけで由来を断定しない。 |
| 鰹 | かつお | 「堅」を含む。干したカツオが堅くなることを連想できる。 |
| 鰆 | さわら | 「春」を含む。春の漁や旬に結び付けて覚えやすい。 |
| 鰈 | かれい | 魚へんに「葉」。平たい魚の姿を思い浮かべたい。 |
| 鰍 | かじか・どじょうなど | 日本と中国の資料で、指す魚が異なる場合がある。 |
| 鮃 | ひらめ | 魚へんに「平」。平たい体形が覚える手掛かりになる。 |
| 鮫 | さめ | 右側は「交」。古い文献には皮の模様と結び付けた説明がある。 |
| 鯉 | こい | 右側は「里」。魚の名として古くから使われてきた字。 |
| 鮒 | ふな | 右側は「付」。中国の古い字書には魚が付くことに関する説明がある。 |
| 鮑 | あわび | 日本では貝のアワビを指すが、中国の古い文献では別の用法がある。 |
| 鰻 | うなぎ | 右側は「曼」。古い本草書には現在の科学とは異なる繁殖説も見られる。 |
| 鯨 | くじら | 魚へんを持つが、現代の分類では哺乳類に属する。 |
| 鰐 | わに | 魚へんの部首に属するが、魚類ではない。 |
| 鯱 | しゃち・しゃちほこ | 海の生き物と、屋根の装飾に使う想像上の姿の両方に関係する。 |
| 鮨 | すし | 魚へんの字だが、魚そのものの名前ではない。 |
| 鮓 | すし | 鮨とともに、すしを表す字として用いられる。 |
| 鯰 | なまず | 右側は「念」。淡水魚の名前として使う。 |
| 鮹・鱆 | たこ | タコを表す字。魚へんだからといって魚類とは限らない。 |
| 鯣 | するめ | 加工したイカの名称として使われる。 |
| 鰕 | えび | 魚へんだが、エビを指す字として用いられる。 |
| 魷 | いか | イカを表す字の一つ。 |
| 鯒 | こち | 魚へんに「甬」。魚名として用いられる。 |
| 鱸 | すずき | 魚へんに「盧」。夏の魚としても知られる。 |
| 鮴 | ごり・めばるなど | 地域や資料によって読み方・対象魚が異なる。 |
| 魴鮄 | ほうぼう | 二字で魚名を表す。単独の魚へんの字とは区別したい。 |
| 鰊 | にしん | 魚へんに「柬」。右側が「東」の字と混同しないようにする。 |
| 鯊 | はぜ | 日本ではハゼを指す用法がある。中国の古い文献では別の魚も指す。 |
| 鰰 | はたはた | 神を含む珍しい字。日本の魚名に結び付いた表記。 |
| 鯥 | むつ | 魚名としての用法は、日本の資料を参照すると分かりやすい。 |
| 鰱 | たなごなど | 辞典によって読みや指す魚の説明が異なるため、個別確認が必要。 |
| 鰒 | あわび・ふぐ | 複数の読みがあり、文脈による判別が欠かせない。 |
| 鮐 | ふぐ | 古い字書に見られる魚名の一つ。 |
| 鰓 | えら | 魚の呼吸器官を表す字。魚名ではない。 |
| 鰭 | ひれ | 魚の体の部位を表す字。 |
| 鱗 | うろこ | 魚の体表を覆うものを表す。 |
| 鯏 | あさり・うぐいなど | 複数の読みが伝わる字。生き物の種類を文脈で見分ける。 |
| 鮖 | かじかなど | 日本で使われる魚名の表記。 |
| 鮗 | このしろ | 冬を含む字。別表記との関係は古い資料でも議論されている。 |
| 鰶 | このしろ | このしろを指す字の一つ。 |
| 鰡 | ぼら | ボラを表す字。別の表記も用いられる。 |
| 鮇 | いわな | 淡水魚のイワナを表す字。 |
| 鰚 | はらか | 地域的な魚名として記録される字。 |
| 鱲 | からすみ | 魚卵を加工した食品名として使われる。 |
| 鱘 | ちょうざめ | チョウザメを表す字。 |
| 鱶 | ふか | 大型のサメを指す呼び名として用いられる。 |
| 鱊 | いさざなど | 小魚の名称に用いられる珍しい字。 |
| 鯎 | うぐい | 淡水魚を表す字。 |
| 鰖 | たかべ | 魚名に用いられる字。 |
| 鮶 | めばるなど | 辞書によって読み方の説明が異なる字。 |
| 鯝 | はらわた | 魚の内臓を表す読みがある。 |
| 鮚 | はまぐり | 貝類を指す字として使われる。 |
| 鯁 | のぎなど | 魚に関する珍しい字。一般的な魚名とは異なる読みもある。 |
| 鮩 | あみなど | 小型の生き物の名称に用いられる字。 |
| 鯺 | はたなど | 珍しい魚名の表記。 |
このほか、魚へんの難読漢字には、鮟鱇(あんこう)、鰌(どじょう)、鱚(きす)、鱓(うつぼ)、魦(いさざ)、鰾(うきぶくろ)、鰲(おおうみがめ)などがある。魚へんの字には、魚だけでなく、貝類、海の哺乳類、体の部位、食品名なども含まれるため、漢字だけを見て生物学上の分類まで判断することはできない。
なお、141種類を掲載する一覧と、上の実用的な一覧は目的が異なる。珍しい異体字や古い字形まで網羅したい場合は、部首辞典や漢字データベースで個々の字を調べるのが確実だ。スマートフォンやパソコンで表示できない文字が含まれる場合もあり、掲載数と実際に表示できる文字数が一致しないこともある。
【漢字の由来】鮪・鯖・鯵・鮎・鰯・鱈・鱧はなぜこの字なのか
魚へんの漢字を面白くしているのは、右側の部分に魚の特徴が直接表れている字がある一方、現代の日本語の魚名だけでは説明できない字も多いことだ。漢字の由来を考えるときは、字の構造、魚の呼び名の語源、古文献に記された説明を分けて考えたい。
鮪(まぐろ)は、その代表例だ。現在の日本ではマグロを指すが、中国の古い用法ではチョウザメの仲間を指す字だった。魚の名前を扱ったUOMEDIAの古文献解説によれば、貝原益軒の『大和本草』(1709年)には「鮪ハ鱘ノ別名」と記され、鮪を現在のマグロとは異なる魚に結び付けている。漢字の意味が国や時代を越えても必ず同じとは限らないことが分かる。
鯖(さば)は、魚へんに「青」と書く。漢字ペディアは「青魚」をサバの表記として挙げ、青い魚という意味を説明している。一方、江戸時代の本草書では、中国の文献に出てくる鯖と、日本でサバと呼ばれる魚との違いが問題になっていた。さらに「サバ」という名前の語源には「狭歯」に由来するという説などがある。字の成り立ちと魚名の語源は、同じ問題ではない。
鯵(あじ)と鰺(あじ)も興味深い。両方ともアジを表す字だが、右側の形が異なる。古い字形や辞書の説明を調べると、魚へんに「喿」を組み合わせた形と「参」の形との関係が論点になる。「おいしすぎて参るから」「旧暦3月が旬だから」といった覚え方も広まっているが、これらを確定した字源として扱うのは慎重でありたい。
鮎(あゆ)は、漢字の意味が変わって使われている例だ。日本ではアユを指すが、中国の古い用法ではナマズを表す。江戸時代の新井白石や毛利梅園らは、なぜ日本でアユに鮎の字が使われるのかを考察した。神功皇后の占いに由来するという説明も伝わるが、古文献の記述には異なる見解があり、単一の説だけで決着する問題ではない。
鰯(いわし)は「弱」を含むため、弱い魚という意味で覚えられることが多い。魚へんと「弱」の組み合わせは、魚の性質を連想させる分かりやすい例だ。ただし、文字の構造から連想できることと、歴史上いつ、どのような経緯で字が作られたのかを証明することは別である。江戸の書物では「鰯」を日本で作られた字、あるいは俗字として扱う記述も見られる。
鱈(たら)は魚へんに「雪」と書く。冬の魚であることや、身が雪のように白いことを思い浮かべる人は多いだろう。実際、江戸時代の書物には、初雪のあとに多くとれるからではないか、寒さを好む魚だから、身が雪のように白いから、と複数の説明が残されている。この違いは、後述する原本の記述を読むとよく分かる。
鱧(はも)は魚へんに「豊」。日本では京都の料理などで知られるハモを表す。しかし、中国の古い字書における鱧は、現在の日本でハモと呼ぶ魚と同じ意味とは限らない。中国の『本草綱目』には「有自然之禮、故謂之鱧」という説明があり、寺島良安の『和漢三才図会』には「故字从禮省」と記されている。ここでは「礼」に関係する古い字源の説明がなされているのであって、「豊かな魚だから鱧になった」と単純に解釈することはできない。
このように、魚へんの漢字には、魚の特徴を表すもの、音を示す部分を持つもの、中国から伝わった字を日本の魚名に当てたもの、日本で作られた字などが混在している。覚えやすい語呂合わせは入口として役立つが、由来を正確に知りたいときは、古い辞書や本草書に戻る必要がある。
【江戸時代の原本】鱈の「雪」はなぜ付いた?古文献に残る三つの説明
魚へんの漢字の成り立ちを調べるうえで、江戸時代の本草書や百科事典は重要な手掛かりになる。国立国会図書館デジタルコレクションには、当時の書物の原本画像が公開されており、現代の解説文だけでなく、実際に書かれた字や文章を確認できる。
その分かりやすい例が「鱈」だ。人見必大の『本朝食鑑』は元禄10年(1697年)刊の食物に関する書物で、巻八の魚の部にタラの項がある。ここには、鱈の字は古い書物には見られず、日本で作られたものだという趣旨の説明がある。さらに、冬の初雪のあとにタラが多くとれるため、この字になったのではないかと推測している。
一方、寺島良安の『和漢三才図会』では、タラの項に「鱈」を俗字として挙げ、寒さを好み夏には姿を見せないため、この字が作られたという説明をしている。栗本丹洲の『栗氏魚譜』では、タラの身が雪のように白いから鱈の字を使うという説明が見られる。
つまり、魚へんに雪という字の由来について、江戸時代の書物は一つの理由に統一されていない。初雪のあとにとれるという季節の説明、寒さを好む魚という生態の説明、身の白さという外見の説明が並んでいる。
これらの古文献を比較する際に重要なのは、著者が何を事実として記し、何を推測として記したのかを見分けることだ。『本朝食鑑』の説明には「歟」、つまり「そうであろうか」という推量が含まれている。現代のウェブ記事で「雪が降る時期にとれるから鱈になった」と断定される場合でも、元の記述が推測だったことは見落とせない。
鮎や鱧についても同じことがいえる。毛利梅園の『梅園魚品図正』には、アユの図とともに漢字の由来に関する書き込みが残されている。『本草綱目』や『和漢三才図会』には、現在の日本で一般的な魚名とは異なる字の使い方や説明がある。古文献は漢字の歴史を知る資料であると同時に、当時の人々が魚の分類や名前について何を知り、何を考えていたかを伝える記録でもある。
原本を読む際には、書名と刊行時期だけでなく、巻数や該当箇所を確認することも大切だ。現代語訳だけを読んだ場合、原文の推量表現や、見出しと本文で異なる漢字が使われていることに気付かない場合がある。江戸時代の原本で由来を確かめる面白さは、後世の解説では省略されがちな、こうした細部にある。
【難読漢字の覚え方】読み方だけでなく、魚名・部首・歴史を分けて考える
魚へんの漢字を効率よく覚えるには、最初から141種類すべてを暗記するより、用途に応じて分類する方法が向いている。
- 食卓でよく見る字:鮪、鯖、鯵、鮎、鰯、鯛、鮭、鰤、鰹、鰆、鱈、鱧など。まず読み方を覚え、魚の名前と結び付ける。
- 魚の形や特徴を連想できる字:鰯、鱈、鰆、鮃など。右側の字から連想できる特徴を手掛かりにする。ただし、連想がそのまま歴史的な字源を証明するわけではない。
- 魚名以外にも使う字:鰓、鰭、鱗、鰾など。魚の部位を表す字も、魚部の学習には欠かせない。
- 複数の読みがある字:鰒、鰍、鮴、鯏など。辞典によって読み方や指す生き物が異なる場合があるため、文脈を確認する。
- 古い字書を調べたい人:鮪、鮎、鱧、鱈など。現代の日本語と中国の古い用法が異なる例から始めると、字の歴史を理解しやすい。
特に注意したいのは、魚へんの漢字を見ただけで、現在の魚の分類まで決めつけないことだ。「鯨」は魚へんだがクジラは哺乳類であり、「鰐」はワニ、「鮑」はアワビ、「鯱」はシャチなどを表す。部首は漢字を分類するための仕組みであって、現代の生物学上の分類表ではない。
また、漢字の右側が必ず魚の特徴や旬を表しているわけでもない。形声文字では、左側が意味の分野を示し、右側が発音に関係することがある。魚へんの漢字を理解するには、意味を表す部分と音を表す部分の両方に注目したい。
学習目的であれば、日常的な魚名を先に覚え、次に難読漢字、最後に異体字や古文献に出てくる珍しい字へと進む方法が現実的だ。漢字辞典オンラインなどの部首別一覧を使えば、読み方、画数、音読み、訓読みを確認しながら学べる。

【プロの結論】魚へんの漢字は「数」よりも、使われた時代と文脈が面白い
魚へんの漢字を調べる際、141種類なのか、200種類近いのか、魚部全体で428字なのかという数字は、入口としては分かりやすい。しかし、数字だけを答えとして覚えてしまうと、魚へんと魚部の違いも、日本語と中国語で字の意味が異なる事実も見落としてしまう。
より深く理解するには、三つの視点を持つことが大切だ。第一に、部首としてどの範囲を数えているのか。第二に、現代の日本語でどの魚や生き物を表しているのか。第三に、その漢字が古い資料ではどのように説明され、使われていたのか。この三点を区別するだけで、魚へんの漢字に関する情報の読み解き方は大きく変わる。
江戸時代の『本朝食鑑』や『和漢三才図会』を読むと、鱈の由来一つを取っても、季節、生態、外見という複数の説明が残されている。鮪や鮎、鱧についても、現代の日本で定着している意味と古い字書の説明は必ずしも一致しない。漢字は魚の名前を固定するラベルではなく、時代や地域による知識の変化を映し出す記録でもある。
読み方を知りたいなら一般的な魚へんの漢字一覧、部首を網羅したいなら魚部の辞典、由来を深く調べたいなら原本画像のある古文献を参照する。それぞれの目的に合った資料を選ぶことが、難読漢字を正しく理解する近道になる。
【魚へんの漢字】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:魚へんの漢字は全部で何種類ありますか?
A1:統一された総数はありません。「ことば百科」は141種類を掲載していますが、漢字辞典オンラインの魚部一覧は2026年10月時点で428字です。魚へんだけを数えるか、魚部全体を対象にするか、異体字や珍しい字を含めるかで数字が変わります。
Q2:魚へんと魚部は何が違いますか?
A2:魚へんは「鮪」「鯖」のように、漢字の左側に「魚」がある形を指します。魚部は漢字辞典の部首分類で、魚へんの字以外にも、魚の形が別の位置にある字や独立した「魚」などを含みます。
Q3:魚へんの漢字で難読なのはどれですか?
A3:鮟鱇(あんこう)、鰌(どじょう)、鱚(きす)、鱓(うつぼ)、鰾(うきぶくろ)などが挙げられます。魚名だけでなく、魚の部位や食品名を表す字もあるため、意味と読みを一緒に覚えると理解しやすくなります。
Q4:鱈はなぜ魚へんに雪と書くのですか?
A4:江戸時代の『本朝食鑑』は初雪のあとに多くとれるためではないかと推測し、『和漢三才図会』は寒さを好み夏にはいないことを理由に挙げています。『栗氏魚譜』には身が雪のように白いという説明もあり、古文献の間で理由は一つに定まっていません。
Q5:鮎はなぜアユと読むのですか?
A5:日本ではアユを表す字として定着していますが、中国の古い用法ではナマズを指します。江戸時代の学者たちも、日本でアユに鮎の字が使われるようになった経緯について複数の説明を残しています。由来を一つの説だけで断定せず、古い辞書や本草書の記述を比較することが大切です。
まとめ:魚へんの漢字は一覧と古文献を使い分けて理解する
魚へんの漢字は、鮪、鯖、鯵、鮎、鰯といった身近な魚名から、鱈や鱧のような由来を調べたくなる字、日常ではほとんど見かけない難読漢字まで幅広い。141種類という数字は特定の一覧に掲載された数であり、魚部全体の字数と同じではない。
読み方を覚えるなら一般的な魚へんの漢字一覧、部首を網羅するなら魚部の辞典、漢字の成り立ちや由来を確かめるなら『本朝食鑑』『和漢三才図会』などの古文献が役立つ。江戸時代の原本には、現代の説明だけでは見えてこない異説や推測も残されている。
魚へんの漢字を調べるときは、単に「何種類あるか」を覚えるだけでなく、その字がどの時代に、どの地域で、何を表すために使われたのかにも目を向けたい。そこまで知ると、寿司店の湯飲みや鮮魚売り場に並ぶ漢字も、日本の食文化と文字の歴史を伝える手掛かりに変わる。 (出典: 魚 へん の 漢字(Yahoo!ニュース))