台風の名前はどのように決まる?アジア名140個の仕組みや由来、日本が提案した星座の名前から過去の引退台風まで徹底解説
日本に接近・上陸するたびに大きなニュースとなる台風ですが、ニュースや天気予報では「台風第〇号」という番号だけでなく、「アジア名」と呼ばれる固有の名前が付けられています。この名前はどのように決められ、どのようなルールや意味があるのでしょうか。
本記事では、台風のアジア名140個の仕組みや由来をはじめ、日本が提案した星座にちなんだ名前、歴史的背景(米軍による命名の歴史)、そして甚大な被害をもたらして引退した台風名まで、気象庁の公式データや歴史的背景をもとに分かりやすく徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:台風のアジア名は、北西太平洋地域の14カ国・・地域が加盟する台風委員会が定めた140個のリストから、発生順に順番に循環して使用される。
- 要点2:かつては米軍による女性名・男女交互の命名が行われていたが、1979年以降はアジアの風土に根ざした独自の国際名(アジア名)へと移行した。
- 要点3:甚大な災害をもたらした台風の名前は「引退(除外)」され、新しい別の名前に置き換えられるルールがある。
台風の名前はどのように決まる?国際的な命名ルールと仕組み
私たちが日常のニュースで耳にする台風の名称は、単なる通称や日本国内で勝手に付けられたものではありません。北西太平洋および南シナ海で発生する熱帯低気圧(台風)に対して、国際的な秩序をもって混乱を防ぐため、1970年代から本格的な命名ルールが整備されてきました。
現在採用されているシステムでは、台風委員会(日本やアメリカ、中国、フィリピンなど14カ国・地域が加盟)が事前に用意した「アジア名」のリスト(合計140個)をベースにしています。台風が発生すると、このリストの上から順番に新しい名前が割り振られ、最後の140番目(サオビエンなど)まで使われると、再び最初に戻ってループする仕組みになっています。一巡するにはおよそ5年から6年かかります。
また、気象庁の発表によると、台風には国際名(アジア名)のほかに、その年における発生順を示す「台風の番号」(例:令和〇年台風第〇号)が必ず併記されます。学術や防災の現場では、「台風名の後に(西暦年の下2桁と台風番号)を併記する」ことで、特定の台風を正確に特定できるようになっています。

アジア名140個の由来と日本が提案した「星座の名前」
140個のアジア名は、加盟する14カ国・地域がそれぞれ10個ずつ提案して持ち寄ったものです。各国・地域の文化、植物、動物、神話、そして星座などにちなんだ多彩な名前が選ばれています。
興味深いことに、日本(気象庁)が提案した10個の名前には、すべて「星座の名前」が採用されています。これは、自然現象である台風の名前が特定の特定の個人や国、特定の宗教等に偏らないよう、中立的かつ馴染み深い星座(しかも、すでに使われている気象衛星の愛称などとも重複しない配慮)が選ばれたためです。
| 提案国・地域 | 主な命名の傾向 | 日本(気象庁)が提供した星座名の例 |
|---|---|---|
| 日本など14カ国・地域 | 動物、植物、神話、自然物、星座など | コイヌ、ヤギ、ウサギ、カジキ、ケンタウルス など(計10個) |
| 一巡のサイクル | 約140個の名前を発生順に循環使用 | 5〜6年でリストが一巡し、再び最初の名前に戻る |
| 識別方法 | アジア名+(西暦下2桁+台風番号) | 特定の台風を明確に区別するための公式表記ルール |
日本が提案した星座にちなんだ名前(コイヌ、ヤギ、ウサギなど)は、私たちが普段夜空で見上げる星座をモチーフにしており、どこか親しみやすさを感じさせる響きを持っています。一方で、他の国々からは、各地域の特産品や神話の神々、美しい動植物の名前などが提案されており、アジア全体の多様性を反映したラインナップとなっています。
歴史的背景:女性名から「アジア名」へ変わった経緯
台風の命名の歴史を振り返ると、第二次世界大戦後のアメリカ軍による観測体制が大きく関わっています。Wikipedia等の歴史的ファクトによると、終戦直後の1947年から1953年にかけて、日本でもアメリカ軍の方式に倣い、アルファベット順(ABC順)の女性名(カスリーン台風、ジェーン台風など)が採用されていました。
この女性名が使われた由来は、当時の海軍や空軍の飛行機乗りたちが、危険な台風の中心へ飛び込んで観測を行う中で、愛着や親しみを込めて「自分たちの妻や恋人の名前を付けたこと」が始まりと言われています。米軍は1945年から西太平洋のタイフーンに女性名のリストを適用し、1950年には正式採用されました。
しかし時代が進むにつれ、「台風を女性名だけで呼ぶのは男女同権に反し、性差別につながる」という批判が世界気象機関(WMO)に対して高まりました。その結果、1979年からは男性名と女性名を交互に使う方式へと大改定され、同年の台風3号(セシル)では初の男性名台風が誕生しました。
さらにその後、アジア地域における気象防災の連携や、地域の文化に根ざした名称へのニーズが高まったことから、2000年からは現在の「アジア名(140個)」を循環使用する国際方式へとバトンタッチされました。

甚大な被害をもたらした台風が「引退(除外)」される仕組み
台風の名前は基本的にリストの順序に従って繰り返されますが、例外的に「二度と使われない(引退・除外される)名前」が存在します。
過去に日本やアジア各国に甚大な人的・物的被害をもたらし、歴史に刻まれるような特異な災害を引き起こした台風の名前は、台風委員会の総会などの場で「引退」させることが決定されます。同じ名前を使い続けることで、過去の惨事を想起させたり混乱を招いたりするのを防ぐためです。
例えば、近年の大きな事例として以下のようなものが挙げられます。
- ハイエン(Haiyan):2013年にフィリピンを中心に猛烈な被害をもたらし、甚大な犠牲者を出したため引退。
- ハギビス(Hagibis):2019年の東日本台風(台風19号)として知られ、日本各地に記録的な大雨と河川氾濫をもたらしたため、リストから除外された。
- ファクサイ(Faxai):2019年の房総半島台風(台風15号)として強風による深刻な停電や家屋損壊を引き起こし、同様に引退となった。
これらの名前が引退した後は、台風委員会の会議において、各国・地域から提案された新しい別の名前に差し替えられ、140個のリストの体制が維持されています。
【台風の名前】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:台風の名前はいつから現在の「アジア名」になったのですか?
A1:2000年(平成12年)の1年1月1日に発生した台風第1号から、北西太平洋および南シナ海の地域住民になじみのある「アジア名」を導入する現在の方式に変更されました。
Q2:日本が提案した星座以外の名前にはどのようなものがありますか?
A2:日本以外の13カ国・地域からは、それぞれの言語における動物(ゾウ、サルなど)、植物(バラ、サクラなど)、神話の生き物、美しい気象現象などが提案されています。
Q3:引退した台風の名前の代わりには、どうやって新しい名前が補充されるのですか?
A3:台風委員会で名前の引退が正式に決まると、その名前を提案した国・地域が新たに別の名前を考案し、次回の委員会で承認されて新しいリストに登録されます。
まとめ:台風の名前から学ぶ気象防災と国際協力
台風の名前の歴史や仕組みをたどると、単なる気象データの記号にとどまらず、国際的な協力体制や防災への配慮が深く関わっていることが分かります。
米軍による女性名の時代から、男女同権への配慮を経て、現在のアジア各国・地域が知恵を出し合う「アジア名140個」の循環システムへと進化を遂げました。また、甚大な被害を与えた名が「引退」する仕組みには、災害への戒めと記憶を大切にする意味が込められています。
次に気象ニュースで台風の名前や番号を目にしたときは、その名前が持つ由来や、アジア全域で共有されている防災の国際的な枠組みに少し思いを馳せてみてはいかがでしょうか。 (出典: 台風 の 名前(Yahoo!ニュース))