ゴッホのひまわりは全部で何枚?アルル時代の7作品の現在地と見分け方
フィンセント・ファン・ゴッホの代名詞とも言える傑作絵画シリーズ『ひまわり』。美術の教科書や展覧会でその鮮やかな黄色を目にしたことのない人はいないでしょう。しかし、「ゴッホのひまわりは全部で何枚あるのか?」「どこに所蔵されているのか?」といった疑問について、正確な全貌を知る人は意外と多くありません。
ゴッホが南仏アルルで情熱的に描き上げた花瓶に生けられたひまわりは、模写や制作の経緯を含めると複数存在しますが、一般的にアルル時代の花瓶版の連作は計7作品とされています。本記事では、世界各地に散らばる7作品の現在地や戦災で焼失した幻の1枚、それぞれの特徴や見分け方を分かりやすく徹底解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:ゴッホがアルルで描いた花瓶のひまわりは全部で7枚の連作として構成されている。
- 要点2:現存するのは世界各地の美術館や個人蔵を含めて6作品であり、1作品は第二次世界大戦中の空襲で焼失している。
- 要点3:背景の色使い、向日葵の本数、花瓶のデザインやサインの違いに注目することで、各作品の見分けがつく。
ゴッホの「ひまわり」は全部で7枚ある?連作の背景と制作順
ゴッホにとって「ひまわり」は、明るい南仏の太陽や友情、そして芸術家共同体のシンボルでした。1888年8月から1890年1月にかけて、彼は友人の画家ポール・ゴーギャンを迎えるアトリエ(黄色の家)を飾るために、次々とひまわりの絵を描き上げました。
ウィキペディアをはじめとする美術史の記録によれば、ゴッホがアルルで制作した「花瓶に生けられたひまわり」の連作は、初期のものやその後の模写を含めて全部で7枚の作品群として数えられています。これらは1枚の孤立した絵画ではなく、構図や色彩の実験を繰り返した「連作」としての強い結びつきを持っています。
制作の時系列としては、1888年8月にパリの友人エミール・ベルナールに宛てた手紙のスケッチに端を発し、同年夏から秋にかけて最初のバージョン(青緑色の背景など)が描かれました。その後、同年12月や翌年以降にいくつかのヴァージョン(模写を含む)が制作され、合計で7枚の構図が確立されました。

アルル時代の花瓶版7作品の現在地と所蔵美術館一覧
世界中に散らばる7枚のひまわりは、現在どこに保管されているのでしょうか。戦争による悲劇や個人の所蔵を経て、現代では限られた主要な美術館などで大切に守られています。
ここでは、アルル時代の花瓶版7作品の現在地とそれぞれの特徴を、分かりやすく一覧表にまとめて比較します。
| 作品番号・通称 | 制作時期 | 背景・特徴 | 現在の所蔵場所・状況 |
|---|---|---|---|
| 第1作(消失) | 1888年8月 | 青緑色の背景に3本のひまわり | 1945年の芦屋の空襲により戦災焼失 |
| 第2作(ロンドン) | 1888年8月 | 黄色系の背景、15本のひまわり | ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵 |
| 第3作(ミュンヘン) | 1888年8月〜9月 | 黄緑色の背景、15本のひまわり | ミュンヘン・ノイエ・ピナコテーク蔵 |
| 第4作(東京・消失) | 1888年12月頃 | ロンドン版の模写に近い構図 | 1945年芦屋の空襲で焼失(実業家・山本顧弥太旧蔵) |
| 第5作(アムステルダム) | 1889年1月 | 青色の背景、15本のひまわり | アムステルダム・ファン・ゴッホ美術館蔵 |
| 第6作(フィラデルフィア) | 1889年1月 | 黄色の背景、12本のひまわり | フィラデルフィア美術館蔵 |
| 第7作(個人蔵) | 1889年1月 | 黄色の背景、12本のひまわり | 個人蔵(長期寄託などにより公開される場合あり) |
上記の通り、現存しているのは世界各地の美術館と個人蔵を合わせた6作品であり、かつて日本(芦屋)にあった1作品は戦争の炎に消えてしまいました。この歴史的背景を知ることで、現存する作品を鑑賞する際の重みがより一層増してきます。
戦災で焼失した「幻の1枚」の歴史的背景
ゴッホのひまわりを語る上で欠かせないのが、日本に存在しながらも第二次世界大戦の戦禍によって失われてしまった「幻の1枚」の存在です。美術史や公的記録によると、この作品はかつて日本の実業家である山本顧弥太氏が1920年に購入し、大阪で大切に保管されていました。
当時、日本で本物のゴッホのひまわりを間近で見ることができる奇跡的な環境があり、日本の若き芸術家や文化人に大きなインスピレーションを与えました。しかし、1945年8月の芦屋大空襲において、保管されていた建物が被災。懸命な救出試みもむなしく、この貴重な油彩画は灰燼に帰してしまいました。
現在残されているのは当時のモノクロ写真や詳細な記録のみですが、ゴッホが日本美術に対して抱いていた深い敬愛(ジャポニスム)と、日本へ渡ったこの作品の数奇な運命は、今なお多くの美術ファンの胸を打つ歴史的事実となっています。

それぞれの特徴と見分け方のコツ(本数・背景色・サイン)
現存する6枚のひまわりは、一見するとどれも同じように見えますが、注意深く観察するとそれぞれに明確な違いがあります。本数、背景の色合い、花瓶の形やサインの位置を見分けることが、ゴッホ作品を深く楽しむための大きなポイントです。
まず大きな特徴の一つが「ひまわりの本数」です。ロンドン版、ミュンヘン版、アムステルダム版などは画面いっぱいに15本のひまわりがダイナミックに描かれています。一方で、フィラデルフィア版や個人蔵のバージョンなどは12本で構成されており、やや落ち着いた空間の余白を感じさせる構図になっています。
次に注目すべきは「背景の色彩」です。アムステルダム版は鮮やかな青色の背景が特徴的であり、黄色のひまわりとの補色対比が最も強烈に際立っています。一方、ロンドン版やミュンヘン版は黄色や黄緑色を基調としており、温かみのあるトーンでまとめられています。また、花瓶に描き込まれたゴッホ自身のサイン(Vincent)の文字や位置も作品ごとに異なり、真贋鑑定や作品特定の大切な手がかりとなっています。
世界各地に散らばる作品を鑑賞するためのポイント
ゴッホのひまわりは世界中の名だたる美術館に分散して所蔵されているため、すべての作品を1カ所で同時に見ることは非常に困難です。しかし、それぞれの美術館が持つ特徴や展示環境を知ることで、現地での鑑賞体験を何倍も充実させることができます。
例えば、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの作品は同館の看板コレクションとして常に多くの来館者を魅了しており、アムステルダムのファン・ゴッホ美術館ではゴッホの生涯の変遷とともにその筆遣いを間近で堪能することができます。海外への渡航が難しい場合でも、世界各地の美術館が提供する高解像度のデジタルアーカイブや、日本国内で開催される大規模なゴッホ展の機会を活用することで、その圧倒的なマチエール(絵肌)や色彩の妙を追体験することが可能です。

【ゴッホひまわり 7 枚】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ゴッホが「ひまわり」をたくさん描いた理由はなぜですか?
A1:南仏アルルに設立した共同アトリエ「黄色の家」を飾るため、そして友人であった画家ポール・ゴーギャンを迎えるための装飾画として集中的に制作されました。
Q2:日本にあったゴッホのひまわりは本当に燃えてしまったのですか?
A2:はい。実業家が所有していた1点が1945年の芦屋の空襲により戦災焼失し、現在は当時の記録写真や資料のみが残されています。
Q3:現存するひまわりの中で、個人が所有しているものがあるのは本当ですか?
A3:はい。7作品のうち1点は個人蔵となっており、一般の美術館の常設展示とは異なり普段は直接鑑賞するのが難しい作品となっています。
まとめ:ひまわり連作の歴史と鑑賞の醍醐味
フィンセント・ファン・ゴッホが命を削るようにして描き上げた「ひまわり」の連作は、アルル時代の情熱と芸術的挑戦の結晶です。全部で7枚という数、戦災で失われた幻の1枚、そして世界各地の美術館や個人蔵に分かれた6つの現存作品は、それぞれに独自の歴史と物語を宿しています。
本数や背景色の違い、サインの配置といった見分け方のポイントを知ることで、単なる有名な名画という枠を超え、ゴッホが画面に込めた色彩の実験や人間性の深みに触れることができます。次に美術館や展覧会でひまわりに出会うときは、ぜひそれぞれの作品が持つ背景や物語に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。 (出典: ゴッホ ひまわり 7 枚(Yahoo!ニュース))