大垂水峠の現在は?走り屋の歴史・段差舗装・ヒルクライムとアクセスを徹底解説
東京都八王子市と神奈川県相模原市緑区を結ぶ大垂水峠(おおたるみとうげ)。国道20号、甲州街道の山越え区間として知られるこの峠は、1980年代から90年代にかけて「走り屋の聖地」と呼ばれた一方、現在は赤い段差舗装が目立つ道路としても知られています。ロードバイクのヒルクライム、バイクツーリング、南高尾山稜の登山など、訪れる人の目的も多様です。
2026年の訪問で特に注意したいのは、道路状況だけではありません。国土交通省の道路情報では大雨による通行止めと解除が案内されており、さらに神奈川中央交通が運行していた大垂水峠経由の路線バスも2026年3月末に運行を終了しました。かつての峠のイメージだけで訪れると、現地で戸惑う可能性があります。歴史、路面の実態、ヒルクライムの数値、アクセス方法を整理します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 峠の基本情報:東京都八王子市と神奈川県相模原市緑区の境にあり、国道20号・甲州街道が通過する標高約400mの峠。
- 走り屋の歴史と段差舗装:80〜90年代のバイクブームと事故対策を背景に、現在はカーブの赤い段差舗装が特徴的な道路になっている。
- 2026年の訪問前に知るべきこと:高尾側のヒルクライムは約3.6km。大雨時の通行規制に加え、峠を通る路線バスの廃止にも注意が必要。
【大垂水峠とは】八王子市と相模原市を結ぶ国道20号の峠
大垂水峠は、高尾山の南側に位置し、東京都八王子市南浅川町と神奈川県相模原市緑区千木良の間を通る峠です。東京方面と相模湖方面を結ぶ国道20号の一部であり、古くから甲州街道の交通を支える区間として利用されています。
峠の読み方は「おおたるみとうげ」です。道路や登山の情報では「大垂水峠」の表記が一般的ですが、「おおだるみ」と呼ばれることもあります。読み方を調べる際は、この違いを知っておくと情報を探しやすくなります。
標高については、国土交通省の道路情報や現地紹介記事では約392mとされています。一方、自転車の登坂記録や登山関連の地図では398m前後、GPSによる記録では400mを超える数値が掲載される場合もあります。計測地点や地図データ、機器による差があるため、記事やルートによって数字が異なっても、必ずしも矛盾しているわけではありません。
地理的な特徴は、峠そのものが観光展望台というより、交通の通過点としての性格が強いことです。頂上付近で大きな眺望を期待するよりも、峠を越えて相模湖方面へ下る途中の景色や、周辺の山道、サイクリングルートを組み合わせて楽しむのが現実的です。

【80〜90年代の歴史】なぜ大垂水峠は「走り屋の聖地」になったのか
大垂水峠の名を広く知らしめた背景には、1980年代のバイクブームと、峠道を走行技術の腕試しの場とする文化がありました。関東近郊からアクセスしやすく、連続するカーブを持つ大垂水峠には、走行を楽しむライダーだけでなく、その様子を見に来るギャラリーも集まったと、バイク専門メディアForRの現地ルポは伝えています。
当時の峠文化を語る際に登場する作品が、しげの秀一氏の漫画『バリバリ伝説』です。峠を舞台にしたバイク漫画の人気も、大垂水峠の知名度を高めた要素の一つと考えられます。ただし、峠に集まった人々のすべてが作品の影響を受けていたわけではなく、実際の走行環境や仲間同士の交流も、人気を支えた背景でした。
当時の大垂水峠は、単に景色を楽しむツーリングコースではありませんでした。夜間に走行するライダーや、速度を競う走行を見物する人々が集まり、沿道のドライブインなどが休憩や集合の拠点として使われていたのです。ForRのルポでは、現在は営業していない旭山ドライブインの駐車場が、かつてライダーやギャラリーでにぎわった場所として紹介されています。
しかし、こうした人気には交通安全上の問題も伴いました。カーブが連続する一般道路で速度を競う行為は、対向車や一般の通行車両を巻き込む事故につながる危険があります。ForRの現地ルポは、1980年代に事故が多発し、警察の取り締まりが強化されたことや、その後にカーブへの赤い段差舗装が施された経緯を伝えています。
二輪車の通行規制も、この歴史を理解するうえで欠かせません。日本自動車工業会の二輪車通行規制に関する解説によると、大垂水峠では125cc以下の車両に対する休日の通行規制について解除の要望が続き、地元への説明や試験期間を経て解除に至りました。バイク専門メディアの記録では、2019年秋に規制が解除されたと紹介されています。
つまり、現在の大垂水峠は、かつての走行文化がそのまま残っている場所ではありません。道路の安全対策が進み、かつての集まり方も変化しました。「走り屋の聖地」という呼び名は歴史を知る手がかりですが、現在の峠を高速走行のための場所と捉えるのは適切ではありません。
【ヒルクライムの実態】距離3.6km・平均勾配4.9%は初心者向き?
大垂水峠は、東京都内から比較的アクセスしやすいヒルクライムコースとしても知られています。高尾山口駅周辺から国道20号を西へ進み、峠の頂上を目指すルートは、長距離の山岳コースに挑戦する前の練習にも利用されています。
サイクリングの登坂記録を掲載する「大東京ヒルクライム!」では、高尾側のルートについて、距離3.6km、平均勾配4.9%、最大勾配10%、獲得標高169m、標高225〜398mという数値が紹介されています。これらは特定の計測区間に基づく記録であり、出発地点や計測方法によって数値は変動します。
| 項目 | 目安・データ | 走行前に知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 峠の標高 | 約392〜398m | 道路情報とGPS・登坂記録で数値に差がある |
| 高尾側の登坂距離 | 約3.6km | 計測区間の起点によって前後する |
| 平均勾配 | 約4.9% | 一定の緩斜面ではなく、途中で勾配が変化する |
| 最大勾配 | 約10% | 一部の区間では短い距離でも負荷が高くなる |
| 獲得標高 | 約169m | 記録サイトの計測区間に基づく数値 |
| 主な道路 | 国道20号・甲州街道 | 一般車両と道路を共有するため、安全確認が欠かせない |
平均勾配4.9%という数字だけを見ると、非常に急な峠ではありません。登坂距離も約3.6kmと比較的短く、初めて本格的な峠に挑戦するサイクリストにも候補となるコースです。ただし、短いからといって平坦な道と同じ感覚で走れるわけではありません。
登り始めは比較的緩やかでも、進むにつれて勾配が増す区間があります。序盤から全力で走ると、後半で脚が重くなり、ペースを維持できなくなることもあります。一定の余裕を残して走り、きつくなった区間では無理に速度を維持しないことが基本です。
さらに重要なのは、ここが自転車専用道路ではないという点です。国道20号には一般車両や大型車両も通行します。路肩の幅や歩道の有無は区間によって異なり、カーブや段差舗装もあります。初心者向けという評価は、あくまで登坂距離や勾配を基準としたものであり、交通環境まで含めて安全が保証されるという意味ではありません。
相模湖側から高尾方面へ戻るルートも、サイクリストによく利用されています。相模湖方面へのロングライドの帰路に峠を越える場合は、すでに疲労が蓄積している可能性があります。高尾側から登る場合と同じペース配分を想定せず、休憩や補給を含めた計画を立てるのが賢明です。

【現在の道路状況】赤い段差舗装の理由と2026年の通行情報
現在の大垂水峠を特徴づけるものの一つが、カーブ付近に設けられた赤い段差舗装です。80〜90年代の走り屋文化を知る人にとっては、峠の雰囲気が変わったことを象徴する設備として語られることがあります。
ForRの現地ルポでは、事故が多発して警察の取り締まりが強化された時期の後、カーブに赤い段差舗装が施されたと説明されています。こうした路面対策は、運転者に道路形状や走行速度への注意を促す安全対策として理解する必要があります。一方、路面に凹凸があるため、バイクや自転車にとっては、通常の滑らかな舗装とは異なる走行感覚になります。
二輪車の場合、カーブの途中で急にブレーキをかけたり、段差の上で車体を大きく傾けたりすると、車体の挙動が不安定になるおそれがあります。段差が見えたら手前から十分に減速し、ハンドル操作やブレーキ操作を急に行わないことが大切です。雨天時や落ち葉のある路面では、さらに慎重な走行が求められます。
また、段差舗装があるからといって、道路全体が通行止めになっているわけではありません。二輪車の休日通行規制は解除された経緯がありますが、訪問時には現地の標識や、その時点での交通規制を確認する必要があります。
道路の通行状況については、国土交通省関東地方整備局の相武国道事務所が重要な情報源です。同事務所は2026年9月7日、大雨による国道20号・大垂水区間の通行止め解除を発表しています。2026年10月26日時点で確認できる同事務所の発表一覧には、その後の大垂水区間の通行止め告知は掲載されていません。ただし、これは出発時点の通行を保証するものではありません。
相武国道事務所は、大垂水区間のライブカメラ映像も公開しています。映像は約10分間隔で更新される仕組みですが、自動更新ではなく、観測機器の不具合や配信の遅延が生じる可能性も案内されています。出発前には道路規制情報とカメラ映像を確認し、雨が強まっている場合は現地の状況に応じて計画を変更してください。
特に注意したいのは大雨です。山間部の道路では、降雨による土砂災害や倒木などの影響で通行規制が実施される場合があります。平常時に通れる道でも、気象条件によって状況は変わります。雨が降り続いた後や、天候が急変しているときには、峠越えを予定どおり実行すること自体を見直す必要があります。
相模湖方面の景色を楽しみたい場合は、峠の頂上だけに期待しないこともポイントです。峠を越えて神奈川県側へ下っていくと、山間部の景観が変化し、相模湖方面への道中も楽しめます。景色を眺めるために車道上で急停止したり、見通しの悪い場所で路肩に駐車したりするのは避け、安全に停車できる場所を利用してください。
【アクセス・周辺観光】高尾山口駅からのルート、登山、ライダーズカフェ
大垂水峠への代表的なアクセスは、東京都側から国道20号を西へ進むルートです。京王線の高尾山口駅周辺を通り、圏央道の高尾山インターチェンジ付近を過ぎると、次第に峠道らしい勾配とカーブが増えていきます。ロードバイクの登坂記録では、高尾側の計測区間が約3.6kmとされています。
自動車やバイクで訪れる場合は、甲州街道を通る通常の道路交通として走行することになります。峠付近には観光地のような大規模駐車場や展望施設が整っているわけではありません。写真撮影や休憩を目的にする場合は、周囲の交通を妨げない場所を選ぶ必要があります。
2026年は峠を通る路線バスの廃止に注意
公共交通機関で訪れる人にとって、見落とせない変更があります。神奈川中央交通は2026年2月2日、相模湖駅から千木良を経て高尾山口駅へ向かう「湖29」と、相模湖駅から高尾を経て八王子駅北口へ向かう「八07」の運行終了を発表しました。両系統は2026年3月末の運行終了対象となり、実際には3月29日までに運行を終えています。
これにより、以前の登山記事やアクセス案内に掲載された「大垂水」バス停を利用する計画は、そのままでは成立しません。2026年に訪問する場合は、過去の登山記録に書かれたバス時刻や乗り継ぎを前提にしないことが重要です。高尾山口駅からの徒歩移動についても、国道沿いは車両が通るため、単純に車道を歩けばよいと考えず、登山道を使うルートを検討してください。
南高尾山稜・城山方面の登山ルート
大垂水峠は、南高尾山稜や小仏城山、高尾山方面の登山ルートを考える際にも登場する地点です。国道20号を横断する歩道橋付近からは、登山道を通じて高尾山や一丁平方面へ向かうルートが案内されています。峠を起点に南高尾山稜を縦走するコースもあり、尾根歩きと峠越えを組み合わせた山行が可能です。
登山ルートの距離や所要時間は、出発地点、通過するピーク、下山地点によって大きく変わります。YAMAPのモデルコースには、大垂水峠から南高尾山稜を経て高尾山口駅方面へ向かう約8.9km、標準タイム約4時間41分のコース例があります。これは特定のルート設定に基づく目安であり、休憩時間や当日の登山道の状態によって実際の所要時間は変わります。
登山では、バスがなくなったことによる行程の変化が特に重要です。峠で登山を終えて公共交通機関で帰るつもりだった場合、帰路の交通手段を確保できない可能性があります。出発前に地図で下山地点を決め、歩行距離、日没時刻、帰りの鉄道への接続まで含めて計画を組み立ててください。
バイクで立ち寄りたいライダーズカフェ「BIKERS BAKERY」
大垂水峠周辺でバイク文化を感じられる場所として紹介されているのが、ライダーズカフェの「BIKERS BAKERY」です。ForRの2023年7月の現地ルポによると、同店は2022年7月15日にオープンしました。バイクや自転車で峠を訪れる人が立ち寄れる場所として、コーヒーや軽食を提供する店として紹介されています。
同記事の掲載時点では、土曜・日曜・祝日の営業で、コーヒーやソフトドリンク、軽食を楽しめるとされています。ただし、これは2023年に紹介された営業情報です。2026年に訪問する場合は、営業日、営業時間、駐車条件などが変更されている可能性も考慮し、出発前に最新の営業案内を確認してください。
かつてのドライブインが走り屋たちの集合場所として機能していたのに対し、現在はこうした店舗が、バイク好きが休憩や交流を楽しむ場所として紹介されています。速さを競うことではなく、道中の景色や愛車、仲間との時間を楽しむという過ごし方も、大垂水峠の現在を知るうえで興味深い変化です。

【大垂水峠】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大垂水峠の標高は何メートルですか?
A1:道路情報や現地紹介記事では約392mとされています。登坂記録やGPSデータでは398m前後など異なる数値が掲載されることもあります。計測地点や測定方法による違いを踏まえ、標高約400mの峠として捉えるとわかりやすいでしょう。
Q2:大垂水峠は現在も走り屋の聖地ですか?
A2:1980年代から90年代にかけて、走り屋とギャラリーが集まる場所として知られていました。しかし、事故の多発を背景に取り締まりが強化され、段差舗装などの道路対策も進みました。現在は国道20号を一般車両やバイク、自転車が通行する道路であり、かつての走行文化と現在の利用実態は区別して考える必要があります。
Q3:大垂水峠のヒルクライムは初心者でも挑戦できますか?
A3:高尾側の登坂記録では距離約3.6km、平均勾配約4.9%、最大勾配約10%とされ、距離や勾配の面では初級者向けの候補です。ただし、一般車両と道路を共有し、カーブや段差舗装もあります。車道走行に慣れていない人は無理をせず、交通量や天候を考慮して判断してください。
Q4:2026年現在、大垂水峠までバスで行けますか?
A4:峠を経由していた神奈川中央交通の「湖29」「八07」は、2026年3月末までに運行を終了しています。過去の登山記事に掲載されたバス情報は現在の運行状況と異なるため、鉄道、徒歩、登山ルートなどを組み合わせて計画する必要があります。
まとめ:【プロの結論】大垂水峠を訪れるなら歴史よりも現在の条件を優先する
大垂水峠は、東京都八王子市と神奈川県相模原市緑区を結ぶ国道20号の峠であり、1980年代から90年代の走り屋文化を語るうえでも重要な場所です。かつてはバイクブームの熱気に包まれた一方、事故の多発を背景に取り締まりや道路対策が進み、現在は段差舗装が特徴的な一般道路として利用されています。
サイクリストにとっては、距離約3.6km、平均勾配約4.9%という比較的取り組みやすい登坂コースです。バイク乗りには甲州街道を越えるツーリングルートとして、登山者には南高尾山稜や城山方面を組み合わせる行程の一部として、それぞれ異なる楽しみ方があります。
ただし、2026年は公共交通機関の事情も変わっています。大垂水峠を経由する路線バスが運行を終了したため、以前のアクセス情報をそのまま利用するのは避けたいところです。また、大雨による通行規制は過去にも発生しており、訪問前の道路情報確認は欠かせません。
【プロの結論】 大垂水峠を安全に楽しむための判断基準は、目的に合ったルート選び、現在の交通情報の確認、そして一般道路を利用する者同士の安全確保です。走り屋の歴史を知って訪れることは、峠の魅力を深く理解するきっかけになります。しかし、歴史的なイメージに引っ張られるのではなく、現在の道路環境に合わせて走ることが、2026年の大垂水峠を楽しむための最も現実的な方法です。 (出典: 大 垂水 峠(Yahoo!ニュース))